1 公共交通を利用できるまでに何があったのか
2 親切にしてもらったり 不思議なものをみつけたり
3 僕たちのバリアフリーは荷物用エレベータだった

アシトド探訪記1

車椅子利用者が公共交通機関を利用できるようになるまでになにがあったのですか

  車椅子利用者が施設や家の中から外へ、そして社会へ出てゆこうという行動が顕著になってきた のは1970年代だといわれています。しかしスロー・エレベータ・車椅子対応トイレは皆無で 、建物内にも入れず多くの仲間は、挫折感、無力感のみを味わうこととなります。電車にのせてくれるようにプラカードを持って駅前に通う電動車椅子利用者も現れます。一部理解のある鉄道会社が駅にエレベーターを設置しはじめてくれたのが80年代、まだ健常者だった著者は開業したばかりの京都市営地下鉄の全8駅のうち4駅に乗降客用エレベータが設置されていたことに、豪華な駅だなあ!(当時は自分が車椅子利用者をするなんて思っていなかったので)程度の感想しか持っていませんでした、また当時は大阪にも乗降客用エレベータ設置駅は無かったようです。
  実は車椅子利用者が鉄道など公共交通に乗るということが、認められること自体大変な事で、介助者を連れてこなければ切符すら売ってもらえなかっり、駅の方に一人で乗りに来るなと言われたり、大勢で駅やバス停に乗せろと押しかけたため騒然となった、大勢の車椅子利用者がJR山手線に担ぎ上げてもらいアピールするなどという出来事が各地で起こりました。ひょつとしたら今でも小さなトラブルはどこかで起きていうかもしれません。新駅ができてもホームまでは階段のみ、
スロー状の通路だったところが改装されたら階段になっていたり。
  そんななかで車椅子利用者の道として利用されたのが荷物用エレベータや線路横断型の
スロー通路でした。荷物用エレベータは既存の設備ですし、線路横断型スロー通路は安全という問題があるものの安く設置することができるからです。荷物用エレベーターは「私たちは荷物なの?」「 ゴミといっしょに運ばれるの」という感想を持たれる仲間も多かったのですが、著者にとっては 階段を担いでもらうことを思えば夢のような設備でした。交通バリアフリー法が成立して、2001 年ごろから都市部をを中心に急速に駅のエレベーター設置が進み、荷物用エレベーターの撤去も続いています。駅や建物にエレベータやスローがあることが当たり前と思っている、最近の車椅子利用仲間、お年寄り、ベビーカーを押すお父さんお母さんにこんなことがあったのだと知っていただければ幸いです。このような事を通して、著者はどんなことでも(たとえば普通選挙や女性の社会進出)それが当たり前になるには先人のものすごい努力があったおかげなのだと、教えられました。だから多少困難で嫌な思いをしても車椅子利用者の皆さん、公共交通機関を利用してくださいね。外出してくださいね。

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階段を担ぎ上げてもらう

車椅子で街に出かけたり、鉄道を利用する時に必ず体験したのが、階段を担ぎ上げてもらうことでした、「おみこし」などといっていた方もいました。多くは駅員さんや、一般の方の善意にゆだねられていました。「設備を整えるのと、人の善意の輪をひろげていくのとどちらがいい?」と福祉問題を研究されている大学教授に質問されたこともありました。当時の著者はスロープを押してもらうのと、階段を担ぎ上げてもらうのでは全然違うのではと考えていました。自身が背骨や腰をいためているのでスロープを押すのと車椅子を担ぎ上げるのでは介助をしていただいた方の負担が全く違うことはわかっていました。善意を示してくださった方に、怪我をさせるようなことは避けなければなりません。1995年に少人数で階段を担ぎ上げて下さっていた駅員さんの1人だけに体重がかかってしまい、ホームに着いたとたんにしゃがみこまれてしまいました。このとき階段を担いでもらうことは極力避けるべきだと思いました。これは私の得た一応の結論です、もちろん車椅子利用者の方にも多様な意見があることは知っていますし、いろいろな立場の方の多様な活動により今日のバリアフリーが形づくられていることもわかっているつもりです。

    1994年撮影

1998年撮影


情報はあてにならないことも

駅のバリアフリー情報がインターネットで確認できるようになりましたが、ローカル鉄道については全く情報が得られないことがあります。車窓からの動画サイトや地図情報を確認してもわからないので、「鉄道本社」や「観光協会」に電話してみると、「車椅子でも降りられるはずですよ」という回答、現地に行って始発駅の駅員さんに聞くとやはり「車椅子でも降りられるはずですよ」。でも一般乗客の方が「あの駅には階段しかなかったよ」という一言が!そしてなぜか運転手さんがこちらを見つめているような。でも民主的・多数決のルールーにしたがえば3対1で「車椅子で降りられる」。で目的の終着駅に到着、せまい改札口を腕で押し上げて身体を浮かし車椅子を少し折りたたんで通り抜けた時には嫌な予感が、やっぱり階段しかなかった!幸い階段の一段一段の幅がひろく車椅子を後ろ向けにして階段に車輪をつけて、介助者と先ほどの運転手さんの2名でおろしてもらう。キャスタが何度も階段にたたきつけられるので折れてしまうのではないかと覚悟しました。少し手前にスロープ通路のある駅があったのでそのことを事前におしえてくだされば、でも確かに「車椅子で降りられましたよね、この駅は」。運転手さんと介助者の方には余分な負担をさせてしまい申し訳ありません。
(2008年東北地方で体験)


元祖車椅子バリアフリーマップ?

これわかりますか、車椅子利用者が首都圏のある駅の南北を移動するための案内図です。リフトをつかって、移動するのですが、駅を利用する時は階段のみ、撮影当時は気づかなかったのですが「車いすでOOをご利用される方は、まえもってお申し出ください」となっています。さてなんという文字が入っていたのでしょうか。当時のバリアフリー地図?
(1993年撮影)

こちらがそのリフト、当時の著者には車椅子以外の歩行弱者、たとえば、ベビーカーを押すお父さん、お母さんや高齢者に対するバリアフリーには思考がまわらす、無邪気に乗っていました。
(1993年利用体験)

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車椅子用渡し板の究極のかたち

車椅子・障害者団体などでお願いしてみると予想外のすごい配慮をしてもらえることがありました。ホームへの従業員さん通路の上に板を渡してもらい、さらにすごいスローを設置していただいて、いっきにホームに駆け上がります。運行本数の多い区間では考えられない車椅子用ホーム渡し板の出現です。
(1994年撮影と利用体験)

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平成8年まで京都のJR二条駅には仮設スロープ通路がありました

旧・二条駅(1994年撮影)

旧二条駅のスロー通路
(平成5年撮影)

JR二条駅は平成8年に高架工事が完成、エレベーター車椅子対応トイ レ完備の駅に生まれ変わったのですが、それ以前の駅にも仮設のスロ ープ板が設けられていて車椅子利用者の通路が確保されていました。 バリアフリーが進んだ今日から考えると何ということもない設備なのですが、このスロープを設置してもらうだけでも多くの出来事があったのだと思います。文化財的価値の認められた旧二条駅舎は梅小路蒸気 機関車館に保存されていますが、車椅子仲間を鉄道の旅へと導いてく れたスロープ通路がどうなったのかは知るよしもありません。


自転車・バイクと車椅子

駅構内につうじる車椅子用スロー通路ができると、自転車がやってきました。自転車が雨にぬれては大変ですので、駅舎の中にも入ってきました。そして下の写真のようになりました。「お母さん、ここは自転車とめたらいけないんじゃないの?」小さな子供の質問に、自らも自転車に乗ってきたお母さんは答えられませんでした。

でも皆さん、この記事はやらせの側面があります、写真を撮ってくれている方に自転車をのけてもらえば、バリアは解消されるのですから。

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JR奈良駅前の車椅子進入口は「門」という漢字の感じ!?

車椅子が入れるような構造にすれば自転車等も入ってこれます。駅前 が放置自転車で埋め尽くされるのは困るが、車椅子利用者は駅に行き たい!そこで車椅子は入れるが自転車ははいれない「門」がつくられた のでしょうか?顎で操作されるような電動車椅子での通過は難しいかも とも思われましたがシュックル(手動車椅子のこと)の著者は少し肩をす ぼめれば簡単に通過出来ました。このゲート以外にも通れる場所があ り、わざわざ利用しなくてもよいのですが、著者は奈良への出入りの門 としてここを通っています。
(平成10年取材) 
その後駅舎が移動保存され現在はありません


こちらは京都・鴨川に自転車等の乗り入れを防ぎ、車椅子利用者が入れるようにした設備。でも体型の大きい車椅子利用者やハンドル付き車椅子の利用者、ベット型車いす利用者はどうするの?

あちらをたてればこちらがたたず


車椅子対応トイレはまさしく神の救いなのだ・・・が

著者が車椅子利用者の仲間入りをした頃は車椅子対応トイレをみつけ のは至難のわざ、数は少ないし、やっとみつけても鍵がかかっていたり、倉庫代わりになっていたり、高校生がタバコを吸うためのアジトにしていたり、ホームレスと思われる人が住んでいたりと、たいへんでした。そこで車椅子対応トイレに・設置 管理をして下さる皆さんに感謝するために、写真のようなことが行われ ているのだと思います。

「思い違いじゃないの?、トイレは扉を開け中にはいってから使いましょう」
(平成4年撮影現在の状況は不明です)

平成6年頃の話ですが管理されている人の仲介で車椅子対応トイレに住んでいた人の了解を得て、トイレの住民の見ている前で排泄行為をすることになってしまいました。お腹から便をだすオストメイトの私に、トイレの住民は驚いておられました。私は車椅子対応トイレに人が住まなくても良い、車椅子対応トイレを利用するため障害者が貧困生活を追い出すようなことのない社会が来てほしいと思いました。

地下鉄のホームのエレベーター裏側でも見つけました、歩行弱者を地下鉄 へと導いてくれるエレベーターへの感謝の気持ちが表れているようです。

「それも思い違いじゃないの?エレベーターは昇降のために使いましょう」
(平成13年撮影)

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アシカなくてもトドまらず




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