車椅子ドライバーが駐車、その後無事に乗車できますか?

 用事を済ませて車椅子でようやくたどり着いた自家用車、ところが横に別の車に駐車されていてドアを全開させられずに乗車不能!さてあなたならどうしますか?                                              

 ずいぶん以前のことになるが(だぶん昭和50年代がそれ以前?)、外国のでのニュースが日本のテレビで紹介されていて、ある車椅子ドライバーがドアの真横に他の車に駐車され、車に乗移ることが出来なくなって大弱り。そこでポールを車の横に置き、車椅子の入れるスペースを確保、ポールを持っていかれないよう車とチェーンを結びつけて事情の分かるよう説明書もぶら下げる。もちろん車での移動の際には常にもって行くという内容。どこの国の話題だったか忘れてしまったが白人の方だったので多分欧米からのニュースのひとコマだったのだろう。

 自国のニュース番組でとりあげられ、そのうえ日本のテレビでも紹介されるのだから、この車椅子ドライバーのアイディアはきっと凄いものだったし、また当時としてはすごく目立ったことをやっておられたのだろう。今日ではポールといってもポリエチレンでできた軽量のものも市販されており、私もやってみようかなぁと考えた時期もあつたが、やはり面倒、なんで車椅子利用者がそこまで苦労しなければならないのか!という気持ちになり結局なんの具体策もないままに今日にいたっている。

 突然こんなニュースのことを思い出して、車いすドライバーをやっている仲間に駐車方法について取材してみるとざっと次のようなところ。自動車の側面に「車椅子で乗降するためのスペースをあけて下さい」と貼り紙をする。駐車場スペース2台分の真中に駐車する。これなら乗降スペースは確実に確保できるけどちょっとスゴイね!駐車場には最初から入れずに路上にとめる(でも大阪名物二重駐車なんてめにあうかも?今でもあるのかどうかはわかりませんけど)。他には駐車場のいちばん端に運転席側のドアを道路にむけてとめる。この方法は場所選びに駐車場をうろうろしなければならないし、たまに扉の横にバイクや自転車を止められたり、「なんで身障者ばっかり、こんなにいじめられなきゃならいのじゃ〜!」とわめきたくなるけれども、事情のわかっていない不特定多数を相手にしなければならないところがこの問題の難しいところ。

 ここで私自身の経験談を、スーパーの駐車場スペースの一番端にとめて、買物に行ったのですが、戻ってくるとさらにその横(スペースの白線外のエリア)に駐車されてしまって結局乗車不可能。スペース外の道路が広くとってあり、駐車した人には悪気はなかったように思えたが、私にとっては重大問題、なんとかしなければ帰れない。近くに通りかかった人に頼んで鍵を渡して私の自動車をだしてもらう、「有難うございました」。ところがその直後、横に止まって私の車椅子での乗車を妨げていた車のドライバーが戻ってきて、その事情を知ってか知らずか、私と視線を合わせることなく発進させて行ってしまった。では今一度「なんで身障者ばっかり、こんなにいじめられなきゃならいのじゃ〜!」

 あらためてポールをもちあるいているあの車椅子ドライバーの勇気に感心させられる。彼が、こんなアイディアをだすまでには言い知れぬ幾多の困難があったに違いない。なにもそこまでしなくても、そう思う人も多いかもしれませんが、一般の人から理解されにくい少数派の立場の障害者が、周囲の人々の理解を得るためには、このような努力も必要なのかもしれないですね。